プレスリリース
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リニューアルオープン記念展
学習院コレクション「華族文化 美の玉手箱」
芸術と伝統文化のパトロネージュ
昭和50(1975)年、学習院大学内に開館した「学習院大学史料館」は、令和7(2025)年春、「霞会館記念学習院ミュージアム」としてリニューアルオープンいたします。これを記念して、特別展「学習院コレクション 華族文化 美の玉手箱 ―芸術と伝統文化の パトロネージュ」を2025年3月14日(金)より開催いたします。当館には、天皇家、皇族、華族の学び舎であった学習院ゆかりの史・資料、美術作品など約25万点が収蔵されています。本展ではそのコレクションの中から、芸術と伝統文化のパトロネージュをテーマに6つのコーナーを設け、絵画、工芸品、古文書、文学資料など約100件を展覧いたします。
展覧会概要
古来より、芸術の創作と発展には王侯貴族らをはじめ、それぞれの時代に活躍をした人々が重要な役割を担ってきました。豊富な知識と高い美意識を持った彼らは、優れた芸術作品を収集し、才気溢れる芸術家を見出して、その能力が発揮できるよう惜しみなく援助しました。現在世界有数といわれる各国の博物館コレクションは、こうした人々の芸術への関心と愛好により築かれたものが数多く含まれています。芸術の発展は、彼らによる芸術作品の保護と、芸術家への支援「パトロネージュ」なしには語れません。
わが国もまた、天皇家をはじめとする多くの「パトロン」により、独自の文化や芸術が育まれ、これまで連綿と受け継がれてきました。彼らは伝統儀礼を重んじつつ、日常生活においては歌や文学、書画といった芸術を好み、優れた芸術作品の誕生に大いに貢献しました。わが国の芸術、伝統文化も天皇家をはじめ、国家を支えた人々などのパトロネージュにより発展を遂げてきたのです。
当館には、天皇家、皇族、華族の学び舎であった学習院ゆかりの史・資料、美術作品など約25万点が収蔵されています。本展ではそのコレクションの中から、芸術と伝統文化のパトロネージュをテーマに6つのコーナーを設け、絵画、工芸品、古文書、文学資料など約100件を展覧いたします。
1章 芸術のパトロネージュ
1-1「絵画」―貴族文化の広がり
王朝貴族の文化が華やかに開花した平安時代、物語や史実を題材とした「源氏物語絵巻」、「伴大納言絵巻」などの名画が次々と誕生しました。文学、絵画、工芸など、平安時代に創作されたわが国固有の芸術は、天皇家を中心に貴族らが先導してその礎を築き、のちの武家社会においても、さらなる発展を遂げていきます。
江戸時代になると、幕府や大名家は優れた絵師や工芸職人らを召し抱えて、彼らに安定した暮らしと製作の場を整えました。御殿を飾る襖絵や屏風、さらには古典名画の模本なども多数製作されています。芸術は町民文化が隆盛した市中へと広がり、『源氏物語』などは絵画、工芸作品を製作する際の格好の題材となったのです。
1-2「工芸」― 職人への庇護
わが国にとって大きな変革期となった明治時代、絵師や工芸職人らの製作と生活は一変しました。大名家のお抱えであった職人はその庇護を失い、新たな創作の道を模索しなければならなかったのです。絵師から転じて工芸品製作に携わる者、陶磁産地から東京、京都などへ移住し輸出品を手掛ける者が現れて、のちに「超絶技巧」と呼ばれた品々を製作。それらは万国博覧会を中心に、世界各国へと発信されていきました。
その一方国内では、工芸職人らの才能と技術を守り、それを後世へと伝えるため、天皇家をはじめ宮家の人々は、彼らへ製品製作を積極的に依頼しました。完成品は天皇家から宮家へ、宮家から華族家へと下賜され、また華族家でもそれに倣った品が数多く作られたのです。
1-3 「芸術」―学習院の役割
当館にはわが国初の美術学校「工部美術学校」の設立に携わった山尾庸三旧蔵の作品群が収蔵されています。フォンタネージら「お雇い外国人」が指導した工部美術学校には、油絵具による「西洋画」の習得を志す若者たちが集い、そのうちのひとり松室重剛は、のちに学習院で西洋画教師として教鞭を執り、美術学校さながらの授業を行いました。
明治43(1910)年、松室の教えを受けた学習院出身の武者小路実篤、志賀直哉、柳宗悦らは文芸雑誌『白樺』を創刊。『白樺』は文学作品のみならず、古今東西の美術を紹介して、大正期のさまざまな芸術分野に多大な影響を与えました。さらに、学習院で学びノーベル文学賞候補となった三島由紀夫を輩出するなど、学習院は芸術分野において大きな役割を果たしました。
2章 伝統文化のパトロネージュ
2-1 「伝来」―受け継がれたもの
わが国には数百年の歴史を持つ名家が数多く存在します。名家にはその家だからこそ伝えられてきた史料や、かつての主や姫君らが好んだ美術品などが受け継がれてきました。とりわけ天皇家ゆかりの「御遺物」は、門外不出として蔵された、名家ならではの貴重な品々です。
名家に伝来した古文書には、歴史の裏側を垣間見せる史料も多く存在します。当館には開館以来、各名家から10万点を超える古文書類が収蔵されてきました。天下人・羽柴(豊臣)秀吉や、徳川第4代将軍家綱の関連史料、さらには学習院第10代院長・乃木希典の遺書など、歴史を物語る興味深い史・資料は枚挙に暇がありません。
2-2 「文化」―守り続けたもの
皇室をはじめ、宮家や華族の人々が日常生活で用いる品々には、彼らの文化、伝統として、守り伝えられたものが多く存在します。教育標本として作られた金属製の昆虫、高価な象牙を用いた野菜や貝の置物、旅行用具や理髪道具、数十客揃いのテーブルウェアといった日常品など、それらは往時の華やかな暮らしを垣間見せ、興味深いものばかりです。
そして皇室には、一般にはほとんど知られていない、現代へと受け継がれた慣習があります。慣習で用いられる品々には、伝統工芸産地で職人らが精魂込めて製作したものが多く存在し、皇室から産地への製品製作の依頼には、伝統工芸の高度な技術を後世へ伝えるための施策という意味合いもありました。わが国の伝統、文化は、皇室により守られてきたともいえるでしょう。
2-3 「儀礼」―引き継がれたもの
伝統文化を重んじるわが国には、古くからの儀式、行事が現在でも多く残っています。その一方、時代の変革期であった明治以降には、ヨーロッパの文化や慣習を取り入れた華やかなドレスも儀式などで用いられるようになりました。上皇后陛下の「ローブ・モンタント」は、洋装のドレスでありながら、伝統的織物「佐賀錦」が用いられており、日本固有の伝統技術の重要さとその美を広く発信したいと願う、皇室の意識の表れといえるでしょう。
そして、明治の皇室から始まり、現代へ続く伝統的慣習として広く知られるのが、慶事の際に贈られる「ボンボニエール」です。金工製、陶磁製など、どれも高度な技術を駆使して精巧に作られた美術工芸品であり、掌の宝石と呼ぶに相応しい魅力に溢れています。
八稜鏡形鳳凰文ボンボニエール(大正大礼 東京宮中饗宴) 銀製 大正4(1915)年12月8日下賜
ボンボニエールとは、皇室の御慶事に際して下賜される菓子器。西欧諸国では結婚や子供の誕生の際に容器入りの菓子(Bonbonnière)を配る慣習があり、それが明治中期、日本の皇室にもたらされました。皇室初のボンボニエールは明治22(1892)年の大日本帝国憲法発布式でプティ・フール入れとして下賜されています。その後、華やかな意匠が施された手のひらサイズの銀製容器に金平糖が入れられ、御結婚や御即位などの慶事の際、また海外賓客への贈り物となりました。
ボンボニエールの製作は、明治維新で職を失った刀剣職などの伝統工芸技術を継承・保護し、海外へ宣伝する役割も果たしています。皇室ではこの慣習を現在も継続しており、海外ではボンボニエールは日本皇室特有の工芸品として認識されているようです。
学習院は華族子女の教育機関として、明治10(1877)年に開校しました。以来150年にわたり、皇族・華族の学びの場として、また国内外で活躍する多くの人材を輩出したことでも知られています。昭和24(1949)年には学習院大学が開学。その附置研究施設として昭和50(1975)年に設立されたのが、学習院大学史料館です。
学習院大学史料館は開館以来、史・資料の収集・保存、調査・研究、展示・公開を行い、数多くの展覧会も開催してまいりました。コレクションは古文書、絵画、工芸など25万点を超え、なかでも皇族・華族ゆかりの品々は、我が国の歴史と伝統文化を語るうえで欠かせない、貴重な史・資料、美術品群といえるでしょう。そして令和7(2025)年春、学習院大学史料館は装いも新たに「霞会館記念学習院ミュージアム」として歩みはじめます。
リニューアルオープンのリリース詳細につきましては、下記をご覧ください。
【2025年3月、学習院大学に新たな大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」が誕生 !】
https://www.artpr.jp/gakushuin-museum/renewalopen2025
開催概要
会期 |
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会場 | 霞会館記念学習院ミュージアム |
住所 | 171-8588 東京都豊島区目白1-5-1 学習院大学目白キャンパス内 Google Map |
時間 |
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休館日 |
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観覧料 |
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TEL | 03-5992-1173 |
URL |
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SNS | |
主催 | 霞会館記念学習院ミュージアム |
協賛 | 一般社団法人 霞会館 |
協力 | 株式会社世界文化社、株式会社キュレイターズ |
広報用画像一覧
- 伴大納言絵巻(模本) 紙本着色 江戸時代
- こもちひじり物語絵巻(部分) 紙本着色 室町後期
- 菊花紋菊枝蒔絵手箱 木製漆塗 明治38〜39(1905~06)年
明治天皇より伯爵寺内正毅へ下賜
展示期間:2025年4月15日〜5月17日 - 菊御紋銀瓶 玉屋商店製 銀製 大正9(1920)年
皇太子(昭和天皇)より侯爵山階芳麿へ下賜 - 色絵金彩鳳凰文煎茶碗皿(部分) 幹山伝七 磁製 明治5〜20(1872~1887)年
有栖川宮家より男爵西紳六郎へ下賜 - 色絵萩鳥文洋食器セット 香蘭社 磁製 昭和戦前期
- ビーズバック 大正〜昭和戦前期
- 刺繍鶴亀松竹梅文筥迫 紙、金糸、絹 明治〜大正期
- ローブ・モンタント(上皇后陛下所用) 絹 平成時代
上皇后陛下より学習院へ下賜
展示期間:2025年3月14日〜3月22日 - 蘇芳地雲立涌地文蝶牡丹上文二陪織物袿(山階芳麿夫人寿賀子所用) 絹 大正〜昭和戦前期
展示期間:2025年4月15日〜5月1日 - 金銀瑞雲流水松竹梅文檜扇 檜・金属・絹 大正〜昭和前期
展示期間:2025年4月15日〜5月1日 - 鶴亀形ボンボニエール(明治天皇大婚25年祝典) 銀製 明治27(1894)年3月9日下賜
- 和船形ボンボニエール 銀製 製作年不詳
- 八稜鏡形鳳凰文ボンボニエール(大正大礼 東京宮中饗宴) 銀製 大正4(1915)年12月8日下賜
- フライヤー(表面)
- フライヤー(中面)
- フライヤー(裏面)
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