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ギンザ・グラフィック・ギャラリー第407回企画展
TDC 2025
TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2025

開催期間会期

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1)にて、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー第407回企画展 TDC 2025」を2025年4月4日(金)より開催いたします。「文字や言葉の視覚表現」を軸に開催するグラフィックデザインの国際賞「東京TDC賞」は、1990年より毎年開催し、今年35回目を迎えます。TDC展2025では、その中から、受賞作品とノミネート作品を中心に特に評価の高かった約120作品を展覧します。

【グランプリ】
受賞者 (TD / Type Director):橋本 麦 [Japan]
タイトル:MONO NO AWARE / かむかもしかもにどもかも! (imai remix) ミュージック・ビデオ
クライアント:MONO NO AWARE / imai (group_inou)

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展覧会概要

「文字や言葉の視覚表現」を軸に開催するグラフィックデザインの国際賞「東京TDC賞」は、1990年より毎年開催し、今年35回目を迎えます。
この度の応募には、2024年8月1日から10月1日までの期間に、国内外から大変に質の高い3590作品(国内1630作品、海外1954作品)が寄せられました。メインカテゴリーの審査員30名によるデータや作品実物の長期の審査、またタイプデザイン部門選考委員16名(専門9名+ゲスト7名)、オンスクリーン部門審査員9名による専門分野の審査とあわせ、486の入選作品と、11の受賞作品、52のノミネート作品が決定しました。
ここにご案内するTDC展2025では、その中から、受賞作品とノミネート作品を中心に特に評価の高かった約120作品を展覧します。今年も話題性にあふれる作品が揃いました。


東京TDC賞 2025 受賞作品のご紹介
グランプリ
作品「MONO NO AWARE / かむかもしかもにどもかも! (imai remix)」ミュージック・ビデオ
受賞者 (TD / Type Director) = 橋本 麦
クライアント= MONO NO AWARE / imai (group_inou)


受賞コメント・作品解説
この短いアニメーションは、Unicodeという文字コードへの個人的な関心から生まれました。世界各地の文字を網羅した、いわば「世界最大のあいうえお表」ともいえるUnicodeは、40年にわたり地域や民族を越えて策定が進められてきました。その過程には、ラテン文字圏偏重だった情報技術への反省や、合意形成をめぐる困難といった歴史が幾重にも折り重なっています。ここ数年ぼくは時間をみつけては仕様書を読み耽り、こうした標準化に奔走した人々へ思いを馳せていました。
この曲は、MONO NO AWAREによる早口言葉の歌をgroup_inouのメンバーであるimaiさんがリミックスしたものです。制作にあたっては、グラフィックデザイナーの鈴木哲生さんから助言をいただきながら文字符号化の歴史について調べ、AI研究者である徳井直生さんと開発したツールを使い、形や意味の似通った文字を一つひとつ拾い集めてコマ撮りしました。
狭義のタイポグラフィーを越え、「文字」そのものに目を向けたこの試みを評価してくださり、とても嬉しく思います。これからも表現の辺境で小さな実験を重ねていきたいです。

橋本 麦 Baku Hashimoto
映像作家、ツール開発者。実験映像やハッカー文化に影響を受け、CGIからコマ撮りアニメーション、ミュージック・ビデオ、インタラクティブ作品まで、多岐に渡って個人で制作を続けてきた。さまざまな表現手法の実験の積み重ねにより、多様な視覚表象のスタイルを模索している。東京TDC賞2025グランプリ受賞。

東京TDC賞 2025【特別賞】
作品「本家西尾八ッ橋」
受賞者 (TD / Type Director) = 北川一成
クライアント= 本家八ッ橋西尾株式会社

受賞コメント・作品解説
この様な名誉を授かり、驚いております。「京都土産といえば西尾の八ッ橋」と言われるくらい高名な本家西尾八ッ橋様が、未来を見据え、既成概念にとらわれない新たな視点からブランディングをなさっておられます。老舗ゆえ、スタートアップとまたひと味違う、山も谷もある本ブランディングの実戦メンバーの一員として受賞の知らせをいただいたこと、大変励みになりうれしく、選んでいただいた光栄に心より感謝とお礼を申し上げます。今こそ調子こいてふんぞり返らないよう気を引き締めてまいりたいと、私はこれを機会にあらためて心に誓っております。話は脱線しますが不易流行というものの未来は誰にもわかりません。とはいえ吉祥が訪れると信じ、時に失敗も経験しながら未来を開拓する行動に打って出ること、すなわち挑戦し続けることが結局成功へ近づける道なのだということは、誰もがわかっている共感です。やってみなくちゃわからないからやってみる。今後とも何卒ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。
GRAPHを代表して 北川一成
北川一成 Issay Kitagawa
GRAPH代表/アートディレクター。2024年、「KAMIZU」で第26回亀倉雄策賞を受賞。1987年、筑波大学卒業。2004年、フランス国立図書館に、“近年の印刷とデザインの優れた本”として多数の作品が永久保存される。2008年、グラフィックアーティストとして世界三大芸術祭“FRIEZE ART FAIR”に出品。2011年、パリのポンピドゥー・センターで開催された現代日本のグラフィックデザイン展の作家15人の1人として選抜される。
AGI(国際グラフィック連盟)会員。ADC賞、TDC賞、JAGDA新人賞など受賞多数。NY ADC賞、D&AD賞等国内外の審査員を歴任。テレビ出演にNHK「新ビジネス伝説・ルソンの壺」、テレビ東京「カンブリア宮殿」等。

ブックデザイン賞
作品「Gloria Lujanovic: Srce zemlje」
受賞者 (TD / Type Director) = Lana Cavar, Narcisa Vukojevic(クロアチア)
クライアント= Oceanmore, Zagreb, Croatia

受賞コメント・作品解説
『Srce zemlje(土地の心)』は、1990年代のユーゴスラビア紛争における中央ボスニアのクロアチア人の苦難に捧げられた追悼の書である。著者のグロリア・ルヤノヴィッチは、30年間隠蔽されてきたこの悲劇的な出来事について大胆に語り、亡くなった同胞と生き残った同胞の尊厳を回復した。若いジャーナリストとして、彼女はボスニアの戦争犯罪を調査し、ハーグの旧ユーゴスラビア国際刑事法廷での訴追を追った。本書は、事実に基づいた、詩的でジャーナリスティックな文体を組み合わせて、この過程における彼女の個人的な体験を語っている。
私たちはこの本を内向的にデザインし、意図的に小さく控えめなものにした。キリスト教の祈祷書を彷彿とさせる。詩の文字は特別にデザインされ、ボスニア中央部の古代墓碑で使われている文字を再現した。詩はこの本の中で最も目立つ部分であり、ボスニアの無名の人々に捧げられている。彼らのささやかでありながら英雄的な物語は、一般的なボスニアの政治的な物語の中ではまだ知られておらず、見過ごされている。エッセイは、RPタイプファウンドリーが以前デザインし発表した書体Dear Sir Madameで書かれている。隠蔽され、処理されなかった戦争犯罪に関する事実の脚注は、黒地に黒で印刷。写真のコラージュは、ボスニア中央部の戦跡とカトリック墓地の墓石を描いている。
Lana Cavar and Narcisa Vukojevic
ラナとナルシサ。98歳、グラフィックデザイン歴52年。数十のデザイン、一握りのクライアント、数冊の本(ああ、本ね!)、そして知名度。
私たちのビジネスモデル:友情。私たちの友情:インスピレーション。
私たちの仕事に対する姿勢:情熱。私たちの情熱:印刷(紙の本!)。
私たちの犬:黒。私たちの猫:キャリコ。
私たちの長所:ソーシャルメディアがない。私たちのマイナス面:ソーシャルメディアがない。
私たちの家 クロアチア。ホームページ:作成中。
永遠に作成中。

RGB賞
作品「Blaise Agüera y Arcas: Who Are We Now?」
受賞者 (TD / Type Director) = James Goggin(Practise, オーストラリア、ニュージーランド、イギリス)+ Minkyoung Kim(アメリカ、韓国)+ Marie Otsuka(アメリカ、日本)
クライアント= Hat & Beard Editions, Los Angeles

受賞コメント・作品解説
デザイン・コンペの審査員が、ウェブサイトとしての書籍(おそらく書籍としてのウェブサイト)を考慮することはめったにないことなので、東京TDCの審査員のオープンマインドな姿勢と、ウェブ版『Who Are We Now?』に対するこのRGB賞に特に感謝している。
私たちは、印刷とデジタルは二項対立ではなく、共生できると信じている。例えば、携帯電話で読む本は、印刷されたペーパーバックのように感じることができる。それぞれのフォーマットが他方を補強するのだ。
印刷版とウェブ版の両方で出版された『Who Are We Now?』は、生物学、生態学、セクシュアリティ、歴史、文化がどのように絡み合い、自然とも人工とも呼べないダイナミックな「私たち」を生み出してきたかをAI科学者のブレイズ・アグエイラ・イ・アルカスが探求したものである。本書の核となるのは、2016年から2021年にかけて実施された一連の調査であり、その調査は全米の数千人の匿名回答者に、彼らの行動やアイデンティティ、特にジェンダーとセクシュアリティに関する質問を投げかけている。
デジタル・システムはしばしばコンテンツの制限的な標準化を必要とするが、私たちはその代わりに、このプロジェクトの複雑な素材に読者をダイナミックに引き込むために、コンテンツに合わせて高度に調整された幅広いモジュールをゼロから構築することを選択した。
私たちは、この本のさまざまなイメージ、プロット、チャート、グラフ、地図とテキストとの関係に細心の注意を払い、物語に最も適したインタラクティブな表現を開発した。読者は各プロットの背後にある生データをダウンロードすることもでき、自由な再分析と探求が可能である。
著者や共同制作者と協力し、印刷物とウェブ両方のフォーマットに対応する単一のコンテンツ・ソースに基づくワークフローを確立した。テキスト、画像、動画、プロット、カスタムマップなどのメディアアセット、およびそれらのメタデータを含むすべての素材は、スプレッドシートと共有のGitHubリポジトリを通じて管理・同期され、両媒体の同時更新とシームレスな統合が保証された。データとインタラクションの複数のモードにもかかわらず、結果的には外部依存を最小限に抑え、セマンティックHTML、CSS、JavaScriptで書かれたシンプルな静的ウェブサイトになった。
James Goggin ジェームズ・ゴギン
イギリス/オーストラリア出身のクリエイティブ・ディレクター、グラフィックデザイナー、教師。ロンドンから、シドニー、ストックホルム、コペンハーゲン、アーネム、シカゴ、プロビデンス、タマキ・マカウラウを経由して現在に至る。パートナーのシャン・ジェームズとともにデザイン事務所Practiseを主宰し、ヨーロッパ、アジア、オーストラレーシア、北米で建築、文化、出版などのプロジェクトを手がけている。Werkplaats Typografie、École cantonale d’art de Lausanne (ÉCAL)、Rhode Island School of Design (RISD)で教鞭をとり、Alliance Graphique Internationale(AGI)のメンバーでもある。
Minkyoung Kim キムミンギョン:反復と差異を探求するジェネレーティブ・ヴィジュアル・システムを専門とするデザイナー兼開発者。現在、RISDの助教授として、デザインとコンピュータを使った実技を教えている。
Marie Otsuka オオツカマリエ:フォント、ウェブサイト、ツール、書籍に携わるデザイナー兼プログラマー。書体会社Occupant Fontsで働くかたわら、フリーランスのウェブデザイナー/デベロッパー、グラフィックデザイナーとして、様々な組織、作家、アーティストとコラボレーションしてきた。教員として、RISD、Parsons、School of Visual Arts、California College of the Artsでタイポグラフィを中心としたインタラクションのコースを教えている。

タイプデザイン賞
作品「しゅうれん かな
」
受賞者 (TD / Type Director) =舟山貴士
クライアント= Non Client

受賞コメント・作品解説
 この書体は、鳥海修氏と松本タイポグラフィ研究会の主催する「松本文字塾第二期」において制作したものです。現在日本語レイアウトの主流の一つである明朝体のかなのデザインは、明治時代初期に上海から輸入された金属活字の漢字書体の影響を受けています。言語表記は、時代ごとの技術や外国語の影響を受けながら変化していくものであり、江戸時代まで主流であった連綿・くずし字・変体仮名などの表記を現在では読むことが困難になっています。この制作においては、江戸時代の整版印刷に用いられたような連綿での表記を改めて分析し、そのアルゴリズムをフォントの仕様に落とし込むことに取り組みました。まだ実際のデザインにどのように落とし込めるか未知数な部分もありますが、実験的な取り組みを評価していただけたことに感謝いたします。
舟山貴士 Takashi Funayama
1987年山形県生まれ。2012年首都大学東京大学院システムデザイン研究科インダストリアルアート学域修了。2012–2018年デザイン実験室勤務。2018年よりフリーランス。東京工科大学助教。武蔵野美術大学博士後期課程在籍。書籍のデザインを中心に、雑誌、カタログなどのエディトリアルデザインとアートディレクションをおこなう。研究としては、実験的な書体設計をおこなうことで日本語のレイアウトの可能性を拓くことに取り組んでいる。

TDC賞
作品「Center Rog」
受賞者 (TD / Type Director) = Nejc Prah(スロベニア)
クライアント= Center Rog

受賞コメント・作品解説
Center Rogはリュブリャナ(スロベニア)にある新しいプロダクション・スペース。10,000m²を超える建物内には、10のプロダクション・ラボ、20のスタジオ・スペース、ビストロ、バー、レストラン、7つのショップ、ライブラリーがある。私は、コア・ブランドからビルのサイン計画、ウェブ・デザイン、キャンペーン・グラフィックまで、すべてを含むアイデンティティに取り組んだ。統一された強いヴィジュアル言語ではなく、似たような感覚を持ち、緩やかで成長していく要素として機能するヴィジュアル・アイデンティティを求めた。このアイデンティティには、マティヤ・メドヴェドによるイラストレーションとクレメン・イロヴァルによる写真コレクションも含まれている。看板は、意図的に一貫性を持たせず、組織的になりすぎないようにしている。
Nejc Prah ネイツ・プラー
1989年生まれ。スロベニアのピヤヴァ・ゴリツァ出身。2013年にリュブリャナのAcademy of Arts and Designのヴィジュアル・コミュニケーション卒業、2015年にYale University School of Artのグラフィックデザイン修士課程修了。2011年から2013年まで学生新聞Tribunaのクリエイティブ・ディレクターを務め、リュブリャナを拠点とするデザイン集団Ansambel(www.ansambel.org)のメンバーでもある。

TDC賞
作品「Let’s Not Get Used to This Place: Meg Stuart/ Damaged Goods」
受賞者 (TD / Type Director) = Sean Yendrys(カナダ、ドイツ)
クライアント= Damaged Goods

受賞コメント・作品解説
『Let's Not Get Used to This Place』は、振付家メグ・スチュアートと彼女の協力者ネットワークに関する出版物である。エッセイ、考察、インタビュー、詩、パフォーマンステキスト、楽譜、エクササイズなど、彼女と仕事を共にした人々による様々なテキストがまとめられており、過去15年間に蓄積された膨大な量の画像資料も含まれている。これらの画像は主に、さまざまな会場や環境で行われたパフォーマンスの記録であり、しばしば異なる写真家によって撮影されている。この本をデザインする上では、これらの素材を使ってメグの作品をどのように表現するのがベストなのかが主な課題の一つとなった。
デザインの出発点は、ダンスやパフォーマンスをベースにした作品を、本というフォーマットに変換して表現することの難しさにある。アーティストと編集者とともに、私たちは従来のように画像を複製するのではなく、オフセット印刷の物質的条件を利用して、書籍に特化した表現を提案することにした。
メグの作品の大半がブラックボックスの劇場で上演されていることにちなみ、この本では最初の256ページに黒い紙を使い、フルカラー、裁ち落としの印刷にしている。これを技術的に可能にするために、印刷会社は私たちと協力して、CMYKで印刷する代わりに、K(黒)に黒い紙を使い、CMYを印刷する画像調整(製版)を行った。メタリックインキは不透明度が高く、通常のオフセットインキのように紙に吸収されないため、CMYを印刷するための下地として、最初にシルバーのインキを印刷した。
テキストレイアウトはシンプルで、主に一つの書体を一つのサイズとウェイトで使用している。掲載する画像の量が多いため、テキストと画像のレイアウトは並行して進められ、本の大部分でテキストが画像に重なっているが、演技者の掲載スペースが必要な時には邪魔にならないよう移動されている。
Sean Yendrys ショーン・イェンドリス
カナダ出身のインディペンデント・グラフィックデザイナー、教師で、現在はドイツのベルリンとエストニアのタリンを拠点に活動している。アーティスト、キュレーター、出版社、組織と密接に協力し、書籍、ウェブサイト、ヴィジュアル・アイデンティティ、展覧会の制作に携わる。最近のデザイン・プロジェクトには、振付家メグ・スチュアートの作品集(ビョルン・ギーゼッケと共作)、2022年ヴェネチア・ビエンナーレ・ルーマニア館のアイデンティティ、2019年・2022年トロント・ビエンナーレ・オブ・アートのカタログ(サンティアゴ・ダ・シルバと共作)、書籍シリーズ、カナダ建築センターの展覧会などがある。2020年のプログラム開講以来、Estonian Academy of Artsのグラフィックデザイン修士課程カリキュラムの責任者を務める。学生とともに、ベルリン(2024年)とリスボン(2025年、Provisional School for Nothingと共催)で開催された自由でオープンな学校Stand-in School for Graphic Designを主催している。また、デザイナーを招き、作品の制作過程で生み出されたリサーチを共有する講義の書籍化シリーズ「Slide Show」(アレクサンドラ・マルジェティックとの共著)を企画・編集している。

TDC賞
作品「Flux (a paradimensional typeface)」
受賞者 (TD / Type Director) = Akiem Helmling, Bas Jacobs, Sami Kortemäki(Underware, オランダ)
クライアント= Self-initiated Project

受賞コメント・作品解説
アンダーウェアはFluxでTDC賞を受賞したことを大変光栄に思う。このプロジェクトは、バリアブルフォントやカラーフォントといった最先端のOpenType技術を組み合わせることで、多次元の書体ファミリーを作り出し、タイポグラフィの境界を再考するものである。超次元のローポリ(ポリゴン数の少ない3Dモデル)書体というコンセプトに根ざしたFluxは、書体が二次元で固定されたものであるという従来の認識に挑戦し、形、空間、色のダイナミックな相互作用を提供する。
Fluxはテクノロジーとデザインの進化する関係を探求するために考案された。先進的なタイポグラフィ・ツールを活用することで、次元性、適応性、インタラクティブ性を統合し、機能性と表現力を兼ね備えた柔軟なシステムをユーザーに提供する。この作品は、タイポグラフィを単に言語の手段としてではなく、フォーマットを超えて適応し進化する没入型の体験としてとらえるよう観客に促している。
東京TDCからこのような評価を受け、実験的なタイポグラフィの可能性を謙虚に肯定したい。この受賞は、デザインの可能性を広げる革新性と好奇心の重要性を強調している。私たちは、この探求を祝福してくれた審査員やより広範なデザインコミュニティに、心から感謝する。
Fluxがタイポグラフィの限界を押し広げ、新たなテクノロジーを受け入れ、新たな創造的次元を切り開きながら慣習に挑戦するデザインを生み出すよう、他の人々を鼓舞することを願っている。この素晴らしい栄誉と、私たちが生きる世界と同じように多面的で変革的なタイポグラフィのビジョンを支持してくださったことに感謝している。
Underware アンダーウェア
熱狂はアンダーウェアにとって不適切な集合名詞ではないだろう。彼らは書体をデザインするだけでなく、文字とともに生きている。文字について教育し、文字について出版し、文字について語り、他の人たちに文字について語ってほしいと思っている(そしてそれを運営している)。
彼らの熱意には、俗物趣味を感じさせない誠実さがある。彼らはただ、文字はとても面白いものであり、機会があれば誰もがそう思うかもしれないと考えているのだ。彼らの作品は、独立系タイプファウンドリーの中でも最も人気のあるものの一つであり、ディスプレイ用にも組版用にも使える、気取らず、高品質で、テキストを組みやすい書体である。アンダーウェアの書体はユニークな美学と完成された品質、そして集団としての存在感によって際立っている。アンダーウェアは新鮮で知的なタイプファウンドリーであり、自分たちの仕事に真剣に取り組む一方、自分たちのことを深刻に考えすぎないようにしている。
アンダーウェアは、1999年にアキーム・ヘルムリング、バス・ジェイコブス、サミ・コルテマキによって設立され、デン・ハーグ、アムステルダム、ヘルシンキを拠点に活動している。

TDC賞
作品「NO PARKING」
受賞者 (TD / Type Director) = Henrik Kubel, Scott Williams(A2-TYPE, イギリス)
クライアント= A2-TYPE

受賞コメント・作品解説
ニューヨークの歩道で、地元の住民が自分たちの手で「駐車禁止」の看板を描いているのに偶然出会ったことからインスピレーションを得た、その土地に根差したアルファベット。手描きの文字、特に「G」という文字の独創的な解釈は、一般の人々によって描かれた1行の文字から新しいフォントを生み出すという挑戦を投げかけた。
A2-TYPE
A2-TYPEは、スコット・ウィリアムズとヘンリック・クーベル(AGIメンバー)によって設立された、コンテンポラリーな書体デザインに特化したオンライン・ファウンドリー兼書体デザインのコンサルタント会社。増え続けるライブラリーには、過去20年間に制作された100以上のユニークなフォントが含まれている。2010年にA2-TYPEを立ち上げて以来、私たちは一流のデザイン会社やグローバルクライアントと協力し、彼らのブランドのために特注の書体を制作してきた。A2-TYPEのフォントは、あらゆるプラットフォームでシームレスに動作し、印刷物、スクリーン、放送で優れたパフォーマンスを発揮するよう設計されている。A2-TYPEはニューヨークTDC、Graphis、D&AD、東京TDCから書体デザイン賞を受賞しており、ニューヨークタイムズ誌のカスタムフォントのデザインでは名誉あるグランプリを受賞した。

TDC賞
作品「Ju Mei」
受賞者 (TD / Type Director) = Mei Shuzhi(中国)
クライアント= Ju Mei

受賞コメント・作品解説
「私の最も古い記憶に、古い家の中庭で裁縫をしていた祖母ジュメイの姿がある。炎天下、彼女は竹製の椅子に座り、村の老人たちのために伝統的な服を縫ったり、出入りする隣人たちのためにボタンを繕ったりしていた。私はよく近くで遊び、彼女の仕事ぶりを眺め、日常生活についての散発的な会話とともに縫い針を動かすリズムに耳を傾けた。
私が5歳のとき、彼女は白い花柄の入った青い綿布で、伝統的なクロスフロントの服を作ってくれた。その生地は柔らかく、着心地がよく、私の肌に優しかった。時が経つにつれて、その生地は洗濯するたびに色あせ、より柔らかく、より馴染んでいった。その服はもうなくなって久しいが、私は今でもその生地の質感を、その暖かさ、柔らかさ、そしてかすかな香りをおぼえている。季節が変わっても、それを着たときの感触を思い出すことができる。生地の記憶は、彼女との記憶と表裏一体なのだ。
それから数年間、私はさまざまな生地に触れ、収集することに夢中になった。まるで、あの青いコットンのクロスフロントの服を着たときの感覚を探し求めるかのように。特別な生地で作られた服に出会うと、洗濯し、天日干しし、アイロンをかけ、たたみ、手入れをすることに喜びを感じる。それを着るたびに、少し変わってしまったけれど、いつも見慣れた昔の思い出と再会するような感覚になる」
Ju Meiは「古い布を蘇らせる」というアイデアにインスパイアされたアパレル・ブランドで、創業者の祖母ジュメイに敬意を表して名付けられた。
Mei Shuzhi メイ・シュジ
2010年に北京で702designを設立し、アーティスティック・ディレクターを務める。日常生活からインスピレーションを得て、新鮮さと遊び心を追求し、日常的な文脈におけるデザインの新たな可能性を探求している。彼の作品は、ニューヨークADC第96回アワード金賞、東京TDC賞、DFA Design for Asia Awards 2019の特別賞と金賞、GDC最優秀賞と審査員賞、Award 360°の金賞など、数多くの称賛を集めている。2023年、X Sign Spaceを共同設立し、「Big, or Small」、「Buy-in」、「THE WONDERLAND OF ARTIST'S BOOKS」などの展覧会の発起人と共同キュレーターを務めた。2021年から2024年にかけて個展シリーズ「Typography Exit(1-5)」を開催し、2024年にはWallpaperのデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

TDC賞
作品「group_inou / HAPPENING」
受賞者 (TD / Type Director) = AC部 / 橋本 麦 / group_inou
クライアント= N/A

受賞コメント・作品解説
本作は、ループで動くGIF形式の漫画のコマをシームレスに繋げて縦スクロールで読む「GIFマンガ」という独自の形式に音楽の要素を加えた、「ミュージックGIFマンガ」というミュージックビデオの一種であります。
group_inouの楽曲「HAPPENING」の歌唱と同じタイミングで歌詞テロップが漫画のセリフとして流れてくる構造を軸にして、そこに漫画のコマ割りを当てはめ、歌詞ごとに想起されるイメージをコマに描き込んで肉付けしていくという形で出来上がりました。一つの物語としてではなく、歌詞のフレーズごとに想起された漫画のコマ同士がかすかなニュアンスで繋がり、楽曲の世界観をふんわりと拡張する表現を目指しました。
 一定速度で進む自動再生の他にもフリック操作による視聴も可能で、特定のコマを止めて眺めたり、音と絵をスクラッチさせたりと、漫画としての時間軸と音楽の時間軸のクロスオーバーによる新たな時空間表現の可能性を提案しております。AC部(安達 亨)
クリエイティブチームのAC部は、ハイテンションかつ濃厚なビジュアル表現、そして「違和感」を持ち味に、広告やアニメ、現代美術の領域で25年以上にわたり活躍している。group_inouはimaiとcpによる音楽ユニットで、独創的なエレクトロニックサウンドとラップによる唯一無二の音楽性がシーンを超えて評価されてきた。映像作家の橋本麦はツールや手法開発から制作し、実験性の高い映像制作を個人で続けている。group_inouの9年ぶりのリリースである楽曲「HAPPENING」を元に、AC部が監督とアニメーション、橋本麦がアプリデザインを手掛け、三者のコラボレーションによるインタラクティブ・ミュージックビデオが完成した。

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ファイル概要:「東京TDC賞 2025」 受賞作品一覧

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開催概要

会期
2025年4月4日(金)〜2025年5月17日(土)
会場 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
住所 104-0061 中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1 Google Map
時間
11:00〜19:00
休館日
日曜・祝日
入場料
無料
TEL 03-3571-5206
URL
【ギンザ・グラフィック・ギャラリー|公式サイト】
https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/
URL2
【ギンザ・グラフィック・ギャラリー|イベント情報詳細ページ】
https://www.dnpfcp.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000842
SNS

デザインフォーラム「TDCDAY2025」の開催

受賞者が受賞作品を語る「TDCDAY」。受賞者のプレゼンテーションを中心に、選考委員との対話やコメント映像も加え、最新のデザインコンテンツをお届けします。日英同時通訳。時間・プログラム・お申し込みなど詳細は東京TDCのサイトをご覧ください。
https://tokyotypedirectorsclub.org/
日 時:2025年4月5日(土) 入場料+同時通訳アプリ使用料1,700円(予定)
会 場:東京都立産業貿易センター 浜松町館 3階展示室「北」


授賞式
日 時:2025年4月4日(金)5:00pm 開式
展覧会オープニング(5:00-7:00pm)に合わせ、DNP銀座ビル2Fにおいて、東京TDC賞2025の授賞式を行います。

広報用画像一覧

  • 画像説明【グランプリ】
    受賞者 (TD / Type Director):橋本 麦 [Japan]
    タイトル:MONO NO AWARE / かむかもしかもにどもかも! (imai remix) ミュージック・ビデオ
    クライアント:MONO NO AWARE / imai (group_inou)
  • 画像説明【グランプリ】
    受賞者 (TD / Type Director):橋本 麦 [Japan]
    タイトル:MONO NO AWARE / かむかもしかもにどもかも! (imai remix) ミュージック・ビデオ
    クライアント:MONO NO AWARE / imai (group_inou)
  • 画像説明【特別賞】
    受賞者 (TD / Type Director):北川一成 [Japan]
    タイトル:本家西尾八ッ橋
    クライアント:本家八ッ橋西尾株式会社
  • 画像説明【RGB賞】
    受賞者 (TD / Type Director):James Goggin [Practise / Australia, New Zealand, UK] + Minkyoung Kim [USA, Korea] + Marie Otsuka [USA, Japan]
    タイトル:Blaise Agüera y Arcas: Who Are We Now?
    クライアント:Hat & Beard Editions, Los Angeles
  • 画像説明【RGB賞】
    受賞者 (TD / Type Director):James Goggin [Practise / Australia, New Zealand, UK] + Minkyoung Kim [USA, Korea] + Marie Otsuka [USA, Japan]
    タイトル:Blaise Agüera y Arcas: Who Are We Now?
    クライアント:Hat & Beard Editions, Los Angeles
  • 画像説明【タイプデザイン賞】
    受賞者 (TD / Type Director):舟山貴士 [Japan]
    タイトル:しゅうれん かな
    クライアント:Non Client
  • 画像説明【ブックデザイン賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Lana Cavar, Narcisa Vukojevic [Croatia]
    タイトル:Gloria Lujanovic: Srce zemlje
    クライアント:Oceanmore, Zagreb, Croatia
  • 画像説明【ブックデザイン賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Lana Cavar, Narcisa Vukojevic [Croatia]
    タイトル:Gloria Lujanovic: Srce zemlje
    クライアント:Oceanmore, Zagreb, Croatia
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Nejc Prah [Slovenia]
    タイトル:Center Rog
    クライアント:Center Rog
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Nejc Prah [Slovenia]
    タイトル:Center Rog
    クライアント:Center Rog
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Sean Yendrys [Canada, Germany]
    タイトル:Let’s Not Get Used to This Place: Meg Stuart/Damaged Goods
    クライアント:Damaged Goods
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Sean Yendrys [Canada, Germany]
    タイトル:Let’s Not Get Used to This Place: Meg Stuart/Damaged Goods
    クライアント:Damaged Goods
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Akiem Helmling, Bas Jacobs, Sami Kortemäki [Underware / The Netherlands]
    タイトル:Flux (a paradimensional typeface)
    クライアント:self-initiated project
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Akiem Helmling, Bas Jacobs, Sami Kortemäki [Underware / The Netherlands]
    タイトル:Flux (a paradimensional typeface)
    クライアント:self-initiated project
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Henrik Kubel, Scott Williams [A2-TYPE / UK]
    タイトル:NO PARKING
    クライアント:A2-TYPE
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Mei Shuzhi [China]
    タイトル:Ju Mei
    クライアント:Ju Mei
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):Mei Shuzhi [China]
    タイトル:Ju Mei
    クライアント:Ju Mei
  • 画像説明【TDC賞】
    受賞者 (TD / Type Director):AC部 / 橋本麦 / group_inou [Japan]
    タイトル:group_inou / HAPPENING
    クライアント:N/A
  • 画像説明Design: Achim Reichert

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