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特集展示
ほとけに随侍するもの

開催期間会期

半蔵門ミュージアムにて、特集展示「ほとけに随侍するもの」を、2025年4月23日(水)より開催いたします。今回は脇侍や眷属など、主尊に随侍するものをテーマとしています。まず観音が衆生を導くため33の姿に変化した応現身の像として、いずれも福島県会津の寺に伝来した当館の梵王身像(法用寺旧蔵)と、早稲田大学會津八一記念博物館所蔵(如法寺旧蔵)の6軀を紹介するほか、脇侍や眷属が描かれた例や仏涅槃図などの仏画をご紹介します。時にユニークなポーズを見せ、時に感情を露わにする彼らは、人間が共感できる魅力にあふれています。ほとけの傍らにいる愛すべきものたちに親しんでいただければと思います。

三十三応現身立像 梵王身 室町時代 明徳5(1394)年頃

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展覧会概要

今期の特集展示は、ほとけに付きしたがうものたちをテーマとしています。すなわち主尊の左右に随侍する脇侍きょうじや、主尊を取り巻く眷属けんぞく(仲間・部下)などです。彼らは主尊の特質を分け持ち、主尊の働きを助ける存在です。主尊を守護・讃嘆さんたん(褒めたたえること)したり、信者に福を与えたりする役割も担っています。

また、変化身へんげしん像も注目されます。とくに観音が衆生を導くため33の姿に変化した応現身おうげんしんの像は、しばしば観音像を取り巻くように安置されるほか、観音像の光背に取り付けられることもあり、あたかも眷属のように付きしたがってきました。

今回は当館の梵王身ぼんのうしん像(福島県会津美里町・法用寺旧蔵)に加え、早稲田大学會津八一記念博物館所蔵の応現身像6軀(福島県西会津町・如法寺旧蔵)を紹介します。その中には女性の像も含まれており、通例とは異なる姿を示す護法神ごほうしん像もあります。脇侍や眷属が描かれた例としては、准胝観音じゅんでいかんのん像や俱利伽羅不動明王くりからふどうみょうおう像、弁才天十五童子べんざいてんじゅうごどうじ像や青面金剛しょうめんこんごう像などを展示します。

  • 画像説明三十三応現身立像 長者女身
  • 画像説明三十三応現身立像 長者身
  • 画像説明三十三応現身立像 童女身
  • 画像説明三十三応現身立像 比丘身
  • 画像説明三十三応現身立像 毘沙門天身
  • 画像説明三十三応現身立像 優婆夷身
三十三応現身立像6軀 ※いずれも、大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔


初公開の仏涅槃図ぶつねはんずは小ぶりな作品ですが、釈尊の死を目の当たりにした菩薩・弟子・守護神・在家信者の心情が、動作や表情により細やかに表現されています。仏涅槃図には動物も数多く描かれ、釈尊の死を悲しんでいます。また日吉山王十禅師ひえさんのうじゅうぜんじ曼荼羅図には、神のお遣いである猿の姿が見出されます。

厳かで堂々とした主尊に対して、付きしたがうものたちは時にユニークなポーズを見せ、時に怒り・悲しみなど感情を露わにしており、人間が共感できる魅力にあふれています。ほとけに寄り添い、ときにはほとけと人とをつなぐ、愛すべきものたちに親しんでいただければと思います。


常設展示
ガンダーラの仏伝浮彫、鎌倉時代初期の仏師運慶作と推定される大日如来坐像(重要文化財)、醍醐寺ゆかりの不動明王坐像、如意輪観音菩薩坐像、二童子像を常設展示しています。また、空海請来本を参考に新たに制作された両界曼荼羅を特別展示いたします。諸尊を彩色と切金で細密に描いた2メートルを超える両界曼荼羅の世界に触れてください。
展示室:地下1階
常設展示についての詳細はこちらから

金剛界曼荼羅 令和6(2024)年 金剛界曼荼羅 令和6(2024)年
(左)金剛界曼荼羅 令和6(2024)年、(右)胎蔵界曼荼羅 令和6(2024)年

開催概要

会期
2025年4月23日(水)〜2025年8月31日(日)
会場 半蔵門ミュージアム
住所 102-0082 東京都千代田区一番町25 Google Map
時間
10時~17時30分(入館は17時まで)
休館日
毎週月曜日・火曜日
入場料
無料
TEL 03-3263-1752
URL
【半蔵門ミュージアム|公式サイト】
https://www.hanzomonmuseum.jp
SNS
アクセス
・東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
・東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
・JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません。
※都合により、展覧会およびイベント等が中止または変更となる場合がございます。
最新情報は、当館公式サイトをご覧ください。

イベント

イベントはいずれも、
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象:中学生以上
参加費:無料

講演会「仏像につかえる存在―脇侍・眷属・随侍像」会場・オンライン併催
日本において仏像は、中心となる主尊が単独で祀られることはほとんどなく、脇侍・護法神・高僧が随侍することが多くあります。後に追加されることも多く、随侍像の理解によって主尊の性格や製作意図が判明することもあります。脇役といえども仏像史や信仰の変遷をうかがううえに重要な存在です。
日時:8月9日(土)14:00~15:30
講師:川瀬 由照氏(早稲田大学文学学術院 教授)
※事前申込(期間:会場聴講:6月4日〜7月7日、オンライン聴講:6月4日〜8月8日)
申込方法:当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください(追って情報掲載予定)
【講演会に関するお問い合わせ先】イベント事務局 Tel 090-9544-9572 受付時間:10時~18時 *土日祝日を除く Email event@faith-web.net

スライドレクチャー「展示品の見どころ紹介」会場のみ
特集展示作品の特徴や見どころを、スライドを用いて分かりやすくご説明いたします。
仏像について 日時:5月10日(土)14:00~14:40 講師 山田 美季(当館客員研究員)
仏画について 日時:6月8日(日)14:00~14:40 講師 吉田 典代(当館上席客員研究員)

江戸歴史文化講座「徳川将軍の素顔」会場・オンライン併催
徳川将軍たちはどのような個性をもっていたのでしょうか。随侍した側近の記録や当時の評判・逸話から、それぞれの素顔に迫ります。
日時:7月6日(日)14:00~15:00
講師:岡崎 寛徳(当館主任学芸員)

※会場聴講は、事前申込不要(当日先着順)
※オンライン聴講URLは、公式サイトに掲載いたします。

半蔵門ミュージアムについて

半蔵門ミュージアムについて
半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。

メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。
施設画像ダウンロードはこちらから


運慶作と推定される大日如来坐像
東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
運慶作と推定される大日如来坐像

当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。

大日如来像の特色と仏師運慶
金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。

大日如来像のひみつ
大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。

また、当館の運慶作とされる大日如来坐像について当館館長が語る「インタビュー」もご参考にしてください。

広報用画像一覧

  • 画像説明三十三応現身立像 梵王身 室町時代 明徳5(1394)年頃
  • 画像説明三十三応現身立像 長者女身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明三十三応現身立像 長者身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明三十三応現身立像 童女身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明三十三応現身立像 比丘身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明三十三応現身立像 毘沙門天身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明三十三応現身立像 優婆夷身 大和朝春作 南北朝時代 至徳元(1384)年 早稲田大学會津八一記念博物館(森靖コレクション) [福島県西会津町・如法寺旧蔵] 撮影・佐々木香輔
  • 画像説明准胝観音菩薩像 室町時代 14~15世紀
  • 画像説明倶利伽羅不動明王像 鎌倉時代 13~14世紀
  • 画像説明青面金剛像 室町時代 16世紀
  • 画像説明弁才天十五童子像 江戸時代 18世紀
  • 画像説明日吉山王十禅師曼荼羅図 鎌倉時代 14世紀
  • 画像説明別尊雑記 鎌倉時代 徳治3(1308)年
  • 画像説明仏涅槃図 江戸時代 18~19世紀
  • 画像説明金剛界曼荼羅 令和6(2024)年
  • 画像説明胎蔵界曼荼羅 令和6(2024)年
  • 画像説明
  • 画像説明

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