プレスリリース
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麻生三郎展
三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン
世田谷美術館にて、「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」を2023年4月22日(土)より6月18日(日)まで開催いたします。現代の人間像を鋭く見つめ、戦後美術に確かな足跡を印した画家・麻生三郎(1913-2000)。本展は麻生が世田谷区三軒茶屋に住んだ1948年から1972年までの約25年間に焦点を定め、《ひとり》、《赤い空》などこの時期の代表作を展示するほか、同時代の文学者との交流や、自ら蒐集した20世紀アメリカを代表する画家ベン・シャーン(1898-1969)の作品群もご紹介します。(特別協力:神奈川県立近代美術館)
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新着情報
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「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」展カタログ
200ページ / B5変形判 / 2,750円(税込)
221点の出品作品・資料図版を全点カラー掲載。身近な風景へのあたたかなまなざしを味わえる
麻生三郎作品143点(油彩60点、素描51点、挿画・装丁原画30点、彫刻2点)および資料78点、麻生三郎旧蔵のベン・シャーン作品30点をすべてカラー図版で掲載します。
写真家・土門拳が写した三軒茶屋の麻生三郎アトリエ。創造の現場の迫力を体感する
雑誌『美術手帖』1950年11月号に掲載された「麻生三郎氏アトリエ訪問」で撮影された写真。初公開となる貴重な未掲載カットを含む7点を紹介します。
遺族インタビューをはじめ多彩なテキストを収録
麻生マユ氏(彫刻家、麻生三郎次女)へのインタビューを収録するほか、麻生三郎によるエッセイや、野見山暁治(画家)、佐々木基一(評論家)、近藤信行(編集者)による麻生三郎をめぐるエッセイ(いずれも再録)など、多彩なテキストで麻生三郎の三軒茶屋時代を読み解くことができます。
展覧会概要
現代の人間像を鋭く見つめ、戦後美術に確かな足跡を印した画家・麻生三郎(1913-2000)。その生誕110年を記念し、麻生が世田谷に住んだ25年間に焦点を定めた展覧会を開催いたします。
戦争末期の空襲で豊島区長崎のアトリエを失った麻生は、1948年、世田谷区三軒茶屋にアトリエを構えました。この再出発の地から《ひとり》(1951年)や1950年代半ばにくり返し描いた《赤い空》など、戦後復興期の代表作が生まれました。
1960年代には、安保闘争やベトナム戦争といった社会問題に麻生は作品を描くことで向き合い、個の尊厳をきびしく問います。一方、虫や小鳥など、身近なものにも澄んだまなざしを向けました。しかし、首都高速道路や地下鉄の建設工事で制作環境が悪化し、1972年、麻生は川崎市多摩区生田へと転居しました。
本展では、麻生が三軒茶屋時代に描いた油彩、素描あわせて約110点をはじめ、野間宏、椎名麟三など文学者たちとの交流を示す挿絵や装丁の仕事も集め、時代と対峙した、その創作の軌跡をたどります。
また、この時期に麻生が強く惹かれ自ら作品を蒐集した作家に、20世紀アメリカを代表する社会派の画家ベン・シャーン(1898-1969)がいます。その人生の集大成といわれる版画集『一行の詩のためには...:リルケ「マルテの手記」より』全24点を含む麻生旧蔵の作品群も本展でご紹介します。
麻生三郎が描きだした時代の情景、そして深々と共感したベン・シャーン作品をあわせてご覧いただき、その重なり合いを今、味わっていただければと思います。
東京に生まれる。太平洋美術学校で学び、1938年渡仏するが大戦下の緊迫した情勢により帰国。豊島区長崎のアトリエ村に住み、美術文化協会の創立に参加。戦時下では松本竣介らとともに、自由な表現をもとめて8人の画家による新人画会を結成した。戦後、自由美術家協会に合流。1948年、世田谷区三軒茶屋にアトリエを構え、武蔵野美術大学で後進の育成にも尽力した。1964年以降は美術団体を離れ無所属として活動。1972年に川崎市多摩区生田に移り、以後同地に住んだ。現実と対峙しつつ自らの内面を深く見つめ、そこから浮かび上がる人間のいる風景を一貫して描いた。
三軒茶屋時代の麻生の言葉
アトリエの麻生三郎 1967年
――人と家、土、空、川と、
つまりはどこにもある人の住んでくらしている街、
ちいさい路地の一角、石のすきまから出ている雑草のかたまりでもいいのだ。
そのままある自然のかたちで満足して仕事をつづけた。
麻生三郎「川のある家」『芸術新潮』1976年10月号より
麻生三郎 略年譜
1913(大正2) 3月23日、東京市京橋区本湊町(現・中央区湊)に生まれる。
1930(昭和5) 17歳 太平洋美術学校に入学し、佐藤俊介(後の松本竣介)らを知る。
1938(昭和13) 25歳 渡仏するが、大戦下の緊迫した情勢により約半年の滞在で帰国。
1939(昭和14) 26歳 美術文化協会に参加する。豊島区長崎のアトリエ村に転居。
1943(昭和18) 30歳 松本竣介、井上長三郎らと新人画会を結成。
1945(昭和20) 32歳 空襲で自宅が全焼し、作品を焼失する。
1947(昭和22) 34歳 麻生も含め新人画会の同人全員が自由美術家協会に参加。
1948(昭和23) 35歳 世田谷区三軒茶屋町に転居する。
1950(昭和25) 37歳 土門拳が麻生のアトリエを撮影。評論家の佐々木基一、埴谷雄高ら『近代文学』同人と交友が始まる。
1952(昭和27) 39歳 野間宏著『真空地帯』(河出書房)の装丁を担当。このほか、井上光晴、椎名麟三、芹沢光治良らの著書の装幀を手がける。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)で美術を教えはじめる。
1959(昭和34) 46歳 伊勢湾台風の豪雨により自宅前を流れる蛇崩川が氾濫し、アトリエが浸水被害を受ける。
1960(昭和35) 47歳 安保闘争の学生デモに参加していた女学生が死亡。これを受けて《死者》(1961)、《仰向けの人》(1961)を描く。
1963(昭和38) 50歳 昭和37年度(第13回)芸術選奨文部大臣賞を受賞。ベトナムで政府への抗議のため僧侶が身体に火を放ち自ら命を絶つ。これを受けて《燃える人》(1963)を描く。
1964(昭和39) 51歳 自由美術家協会を脱退し、以後、無所属となる。
1970(昭和45) 57歳 「ベン・シャーン展」(東京国立近代美術館)を鑑賞。この後90年代にかけて、ベン・シャーン作品を蒐集する。
1971(昭和46) 58歳 この頃、三軒茶屋で道路や地下鉄工事が相次ぎ環境悪化に苦しむ。
1972(昭和47) 59歳 神奈川県川崎市多摩区生田に転居。
1995(平成7) 82歳 神奈川文化賞を受賞。
2000(平成12) 87歳 4月5日、自宅にて死去。
2010(平成22) 「麻生三郎展」(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、愛知県美術館)が開催される。
2014(平成26) 「美術と文学の交流 麻生三郎の装幀・挿画展」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)が開催される。
展覧会の見どころ
1.生誕110年を迎えた麻生三郎。その戦後の代表作を集めて展覧
今年は麻生三郎の生誕110年にあたり、また、公立美術館での麻生三郎展は約10年ぶりとなります。本展では、麻生の世田谷・三軒茶屋時代に着目し、戦後の代表作を含む油彩、素描あわせて約110点を集めて展覧します。日本の戦後復興期から高度経済成長期にかけて、麻生が描きだした時代の情景が会場の随所に立ち現れます。
2.麻生三郎が手がけた挿絵や装丁なども幅広く紹介
三軒茶屋時代の麻生三郎の多彩な活動をご紹介します。野間宏、椎名麟三など同時代の文学者たちとの交流を示す挿絵原画のほか、あたたかみのあるユーモラスなタッチで干支を描いた手帳の表紙など、油彩とはまた一味違った魅力をお楽しみください。
3.土門拳が写したアトリエの写真も公開。初公開カットも
1950年に雑誌『美術手帖』の特集で写真家・土門拳が撮影した麻生三郎のアトリエ写真を、初公開となる未掲載カットも含めてご紹介します。若き麻生一家の和やかな表情とアトリエの張り詰めた空気、両方に向けられた土門拳の眼差しをぜひご覧ください。
4.そして、ベン・シャーン
麻生は、ベン・シャーンの没後、1970年に東京国立近代美術館で開催された回顧展で感銘を受け、以後長年にわたり自ら作品を蒐集しました。本展では麻生三郎作品とともに、麻生旧蔵のベン・シャーン作品も並びます。二人の響きあいを、会場で体感いただければと思います。
開催概要
会期 |
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会場 | 世田谷美術館 |
住所 | 157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2 Google Map |
展示室 | 世田谷美術館 1階展示室 |
時間 |
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観覧料 |
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TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
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主催 | 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団) |
後援 | 世田谷区、世田谷区教育委員会 |
特別協力 | 神奈川県立近代美術館 |
関連イベント
レクチャー1「麻生三郎と出会って―その人と作品」
5月27日(土)14:00~15:00(開場13:30) 講堂
講師:原田光氏(美術評論家)
定員:先着90名 ※当日正午より美術館エントランスにて入場券配布
料金:無料 ※手話通訳付き
レクチャー2「麻生三郎のアトリエを記録する」
6月4日(日)14:00~15:00(開場13:30) 講堂
講師:三上豊氏(編集者、東京文化財研究所客員研究員)
定員:先着90名 ※当日正午より美術館エントランスにて入場券配布
料金:無料 ※手話通訳付き
ミニレクチャー「30分でよくわかる! 麻生三郎展のポイント」
5月6日(土)、5月14日(日)、6月17日(土)
いずれも15:00~15:30 講堂
講師:当館担当学芸員
定員:先着90名 ※当日14:30より美術館エントランスにて入場券配布
料金:無料 ※手話通訳付き
100円ワークショップ
会期中の毎土曜日 13:00~15:00 地下創作室 ※予約不要、随時受付
※入室は一度に20人まで
小さなお子様から大人の方まで気軽に楽しめる工作など。
料金:1回100円
同時開催展
ミュージアム コレクションⅠ「山口勝弘と北代省三展 イカロスの夢」
2023年4月22日(土)~7月23日(日) 2階展示室
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00117
第二次世界大戦後の日本において前衛芸術の出発点に位置する〈実験工房〉。短い期間ではありましたが、若い美術家や音楽家たちが集まり、協働で舞台を手掛け、発表会を行い、芸術の総合を目指しました。
ここに参加し、1970年代以降はメディアアートの先駆者として活躍した山口勝弘(1928-2018)は、2001年に病に倒れたあとも、制作を続けます。身体の動きが不自由ななか、宇宙空間や飛行について思索を巡らせ、絵筆を握りキャンバスに向かいました。短いタッチが繰り返されるカラフルな画面に向き合うと、身体に伝わる振動を感じつつ絵画が生み出されたことがわかります。
また、同じく〈実験工房〉で活動し、写真の仕事も多く遺している北代省三(1921-2001)は、1970年代以降、模型飛行機や凧の制作を行いました。特に凧は、和洋問わずにさまざまな形体を試みています。その造形的な美を求めるばかりではなく、エンジニアのように風の速度や圧力を計算しつつ精度を高めていく姿は、遊びでありつつ遊びの先に何かの真理を掴もうとしているかのようです。
本展覧会では、山口勝弘の晩年の絵画作品と北代省三の凧を中心とし、福島秀子や駒井哲郎、大辻清司ら〈実験工房〉のメンバーの制作活動の一端をご紹介します。
パンフレットPDF
[コーナー展示] 追悼――矢吹申彦
昨年10月に逝去されたイラストレーターの矢吹申彦(1944-2022)の作品を、当館のコレクションよりご紹介します。
広報用画像一覧
- 麻生三郎《子供》1948年 個人蔵
- 麻生三郎《母子》1949年 個人蔵
- 麻生三郎《ひとり》1951年 個人蔵
- 麻生三郎《赤い空》1955年 東京国立近代美術館蔵
- 麻生三郎《人》1958年 神奈川県立近代美術館蔵
- 麻生三郎《少女像》1960年 茨城県近代美術館蔵
- 麻生三郎《三軒茶屋》1959年 神奈川県立近代美術館蔵
- 麻生三郎《三軒茶屋》1963年 世田谷美術館蔵
- 麻生三郎 椎名麟三著「永遠なる序章」『日本の文学 68 椎名麟三、梅崎春生』(中央公論社、1968年)挿絵原画 神奈川県立近代美術館蔵
- 麻生三郎 福永武彦著『夢みる少年の昼と夜』(新潮文庫、1972年)表紙原画 個人蔵
- 『お手帳』(蓬莱屋印刷所、左上から1957年~59年、1962~63年、1966~69年、1972~74年) 表紙画:麻生三郎 神奈川県立近代美術館蔵
- アトリエの麻生三郎 1967年
- 麻生三郎展 チラシ表
- 麻生三郎展 チラシ裏
- 山口勝弘と北代省三展 チラシ表
- 山口勝弘と北代省三展 チラシ裏
- 「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」展カタログ
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