プレスリリース

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土方久功と柚木沙弥郎
熱き体験と創作の愉しみ

開催期間会期
※掲載申込み受付終了

世田谷美術館の収蔵品を中心に、彫刻家・土方久功と染色家・柚木沙弥郎の作品をご紹介します。土方久功は、考古学や民族学への関心を背景に、原始的な生活文化がのこるミクロネシアに憧れ、パラオ諸島へわたりました。木彫レリーフをはじめとした作品には、現地での暮らしや人々へのあたたかいまなざしが見てとれます。柚木沙弥郎は20代から染色家として活動し、2022年に100歳をむかえました。身近な日常にアイディアの源をもつ大胆で力強い造形は、多くの人を魅了しています。立体や平面、絵本まで幅広い表現で創作を展開している土方と柚木。不思議に響きあうふたりの創造の世界を、ゆっくりお楽しみください。

柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》1983年、世田谷美術館蔵 

この展覧会の広報用データのお申込みは
終了しました。

新着情報

  • NEW 追加出品決定! 柚木沙弥郎の絵本『トコとグーグーとキキ』素描帖、そして家族に贈ったクリスマスカード
    絵本原画とはまた別の魅力をもつ、柚木の素描帖。のびやかな線にご注目ください。家族に贈ったクリスマスカードには、遊び心が満載です。

    NEW コレクション展(2階展示室)の情報も公開しました。
    ◆ ミュージアム コレクションⅡ「雑誌にみるカットの世界 ――『世界』(岩波書店)と『暮しの手帖』(暮しの手帖社)」
    ◆ [小コーナー展示]「魯山人の支援者――塩田岩治(しおだいわじ)と南莞爾(みなみかんじ)」
    が、2階展示室にて開催となります。
    詳細はこちらからご覧ください>>

展覧会概要

世田谷美術館の収蔵作家から、立体、平面、絵本など多岐にわたる仕事を手がけている土方久功(ひじかた・ひさかつ、1900-1977)と柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう、1922- )をとりあげます。

土方久功は、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業後、1929年から42年まで、当時日本の委任統治領であったパラオ諸島や、カロリン諸島中部のサタワル島で過ごしました。現地の人々と生活しながら制作に励む一方、周辺の島々を巡り、生活様式や儀礼、神話などの詳細な調査も熱心に行いました。帰国後は世田谷区の自宅で、ミクロネシアの人物や風景を主題とした木彫レリーフやブロンズ彫刻、水彩画を数多くのこしています。さらには民族誌学的調査の成果をまとめた著書や、詩集、絵本も出版しました。その作品には、ミクロネシアでの熱い体験が生き生きと脈打っています。

柚木沙弥郎は東京帝国大学(現・東京大学)文学部美学美術史科で学んだ後、柳宗悦が提唱する「民藝」の思想と、芹沢銈介の型染カレンダーとの出会いを機に染色の道を志すようになりました。以来、鮮やかな色彩と大胆な構図の型染による作品を発表するほか、立体作品、絵本まで精力的な創作活動を展開しています。100歳を越えてなお活躍を続ける柚木の作家人生においては、海外でメキシコの玩具などを目にした経験が、より自由な表現へ向かう契機となりました。尽きることのない創作の愉しみが、作品から湧き出ているようです。

両者に直接的な接点はないものの、多彩な表現の広がりをみせる土方と柚木の作品世界は、不思議に響きあうところがあるようです。本展では世田谷美術館の収蔵品に作家やご遺族が所蔵する作品と資料を加え、パラオ諸島や周辺の島々での稀有な体験、そして日常の身近なものや出来事に潜む面白さを源泉として生まれた二人の創造の世界をご紹介します。


展示構成
Part 1 土方久功―パラオ諸島とサタワル島で過ごした日々への憧憬
ブロンズ彫刻とマスク
世田谷美術館には《マスク》(1929-1949年)のほか、主に世田谷区豪徳寺にアトリエを構えた1950年代以降の作品群が収蔵されています。展示の冒頭では、時にユーモアを感じさせるブロンズ彫刻、そして様々な表情をみせる《マスク》を、それぞれ約10点ずつご紹介します。

木彫レリーフと水彩画
ミクロネシアの自然や人々をモチーフに制作された木彫レリーフを15点程度、また、病を経て体力が衰えた後に多く描くようになったという水彩画約10点をご紹介します。

絵本の仕事と雑誌『母の友』挿絵原画
土方は1960年代より絵本の仕事にもたずさわり、岩波書店や福音館書店から『ぶたぶたくんのおかいもの』(福音館書店、1970年)や『おによりつよいおれまーい』(福音館書店、1975年)をはじめ5冊の絵本が出版されています。また福音館書店が刊行する雑誌『母の友』にも、サタワル島に伝わる民話などの物語を寄稿しました。本展では『母の友』のために描かれた挿絵原画20数点も展示します。


Part2 柚木沙弥郎―“自由であること” 楽しみを見つける日々の営みから生まれる創作
型染による表現
世田谷美術館が所蔵する柚木沙弥郎の作品は、工芸家としての仕事から、より自由な創作活動を意識するようになった1982年以降の作品です。《コンストラクション》(2011年)をはじめ、シンプルで力強い造形力の染色作品25点をご紹介します。

絵本の仕事と指人形《町の人々》
柚木は、1994年の『魔法のことば』(金関寿夫・訳、CRAFT SPACE わ)を皮切りに絵本の仕事も手がけ、2004年には『トコとグーグーとキキ』(村山亜土・文、福音館書店)が出版されました。世田谷美術館の収蔵品《町の人々》は、この絵本のクライマックスの場面でサーカスを見ている人々を指人形にしたものです。柚木の絵本の仕事とともに、これら13点の指人形も展示します。

柚木沙弥郎のアトリエから
柚木沙弥郎のアトリエには、海外を旅行中に出会った民芸品をはじめ、柚木が気になったものたちが飾られています。それらの品々を、長年、柚木の撮影を続けている写真家・木寺紀雄の写真とともに展示します。


展覧会の見どころ
1. 土方が残した言葉にも注目
詩集や著書を出版している土方久功が、パラオ諸島やサタワル島での体験について記した言葉も、作品とあわせてご紹介します。

2. 土方による雑誌『母の友』挿絵原画を初公開!「ぶたぶたくん」の誕生秘話も!
雑誌『母の友』(福音館書店)の挿絵原画は、本展が初公開となる作品群です。そのなかには絵本『ぶたぶたくんのおかいもの』でおなじみの「ぶたぶたくん」の姿も。「ぶたぶたくん」誕生の経緯をご紹介するほか、サタワル島の民話を色鮮やかな色彩で描いた「おによりつよいおれまーい」(1971年11月号掲載)の原画なども展示します。

3. 柚木が夢中になってつくった表情豊かな指人形たち
柚木が身近にあった様々な布裂ぬのきれなどを使って夢中になってつくったという指人形《町の人々》。本展では、この人形たちが見ている『トコとグーグーとキキ』のサーカスの場面を背景に人形たちを展示。絵本の世界を体感ください。

4. 柚木沙弥郎のアトリエ空間にようこそ
ものと向き合う時間を大切にする柚木。旅先で目にした民芸品など、気になったものたちは、しまわずに見えるところに並べられ、柚木を触発します。そうした品々の一部を展示し、さらに、長年にわたり柚木沙弥郎と時間をともにし、撮影してきた写真家・木寺紀雄による、アトリエの写真も紹介します。柚木の創作の源泉の一端が感じられるのではないでしょうか。

作家略歴
土方久功(1900-1977)
東京に生まれる。1924年、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業。1927年、日本橋・丸善画廊で個展開催。1929年、日本の委任統治領であったパラオ諸島へわたる。滞在中は作品の制作に励む一方、周辺の島々を巡り、民族誌学的調査も精力的に行う。1931年から38年まではカロリン諸島中部のサタワル島に移り、島の人々とともに暮らした。1942年、帰国。同年、陸軍専任嘱託としてボルネオ調査団の民族班を担当し、北ボルネオへ行く。戦後は世田谷区豪徳寺の自宅でミクロネシアの人物や風景を主題とした木彫レリーフやブロンズ彫刻、水彩画の制作を続け、個展などで発表した。『パラオの神話伝説』(大和書房、1942年)、『流木』(小山書店、1943年)、『文化の果にて』(流星閣、1953年)をはじめ、ミクロネシアでの体験や調査に関する著書、詩集、さらに絵本も出版した。

柚木沙弥郎(1922- )
東京に生まれる。1942年、東京帝国大学(現・東京大学)文学部美学美術史科に入学。翌年の学徒動員を経て終戦後、岡山県倉敷市に復員し大原美術館に就職。柳宗悦の提唱する「民藝」の思想や、芹沢銈介の型染カレンダーに感銘を受け、染色の道を志す。1947年、芹沢銈介に弟子入りし、静岡県由比町の正雪紺屋で染色の技法を学ぶ。1953年より国画会会員。1955年、銀座・たくみ工芸店画廊で初個展開催。女子美術大学で教鞭をとり、1987年には同大学・短期大学学長に就任した。2014年にパリのギメ東洋美術館で開催された「La Danse des formes 柚木沙弥郎のテキスタイル作品展」をはじめ、海外でも作品を発表。100歳になった現在も型染による作品のほかガラス絵や版画、立体作品、絵本など幅広い創作を続けている。近年の主な展覧会に「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」展(2018年、日本民藝館)、「柚木沙弥郎 life・LIFE」展(2021年、PLAY! MUSEUM)、「柚木沙弥郎の100年 創造の軌跡」展(2022年、女子美アートミュージアム)がある。2022年、「2021毎日デザイン賞」(毎日新聞社主催)受賞。

開催概要

会期
2023年9月9日(土)〜2023年11月5日(日)
会場 世田谷美術館
住所 157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2 Google Map
時間
10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
休館日
毎週月曜日 ※ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館、9月19日(火)、10月10日(火)は休館
観覧料
一般 500(400)円、65歳以上 400(300)円、大高生 400(300)円、中小生 300(200)円
※8月15日(火)正午より日時指定券発売(オンライン・クレジット決済またはd払い)
※( )内は20名以上の団体料金。事前に電話でお問い合わせください。
※障害者の方は300円。ただし小中高大生の障害者の方は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料(予約不要)。
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL
【世田谷美術館|公式サイト】
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
URL2
【世田谷美術館|展覧会詳細ページ】
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00215
SNS
主催 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)
後援 世田谷区、世田谷区教育委員会

関連イベント

アフタヌーンレクチャー「土方久功と柚木沙弥郎」
担当学芸員が展覧会のみどころを分かりやすく解説します。
日時:9月16日(土)、10月28日(土) いずれも午後2時~午後2時40分
会場:講堂
定員:先着140人
参加費:無料
※当日、午後1時30分より講堂前にて入場整理券を配布
※手話通訳付き

100円ワークショップ「かたちをならべて型染てさげ」

ポンピドゥーセンター外観
2004年から企画展開催期間中の毎週土曜日に開催してきた名物イベント「100円ワークショップ」。小さいお子様から大人の方まで、どなたでもその場で気軽に参加でき、その時に開催中の展覧会に関連した満足度の高い創作体験ができる人気講座です。今回は好きな形を切り抜いて、型染めのてさげ袋を作ります。
日時:展覧会会期中の毎週土曜日 午後1時~午後3時
会場:地下創作室
定員:一度に10グループ[最大30名]まで
参加費:ひとつ100円
企画・運営:世田谷美術館鑑賞リーダー(美術館ボランティア)
※予約不要、随時受付

コレクション展 2階展示室

ミュージアム コレクションⅡ
雑誌にみるカットの世界
『世界』(岩波書店)と『暮しの手帖』(暮しの手帖社)
2023年8月5日(土)~11月19日(日) 2階展示室
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00118

終戦後まもなく、それまで抑圧されていた言論が活気を取り戻しつつあった頃、雑誌の創刊や復刊も相次ぎ1946年に岩波書店より『世界』が、1948年には暮しの手帖社より『暮しの手帖』(当初は「衣裳研究所」より『美しい暮しの手帖』として)が創刊されました。

『世界』は、岩波書店の創業者である岩波茂雄(1881-1946)の意志のもと、『君たちはどう生きるか』の著者でもある吉野源三郎(1899-1981)を編集長に創刊され、文化的に重要な記事が多数掲載されてきました。『暮しの手帖』は、気鋭の服飾評論家であった花森安治(1911-1978)が大橋鎭子(1920-2013)と共に創刊し、花森自ら原稿の執筆、取材や撮影、誌面レイアウト、表紙画、宣伝広告のデザインまですべての制作過程に携わりました。

近年、世田谷美術館では、岩波書店より『世界』カット原画、暮しの手帖社と土井藍生氏より『暮しの手帖』カット原画の寄贈をいただきました。『世界』では、中川一政や加山又造、駒井哲郎、飯田善國、宇佐美圭司、加納光於など、洋画、日本画、版画、彫刻、現代美術と、日本の近現代美術を牽引してきた多様な作家が起用されています。『暮しの手帖』では、創刊号よりほとんどすべてのカットを花森が手掛けました。おなじ時代を異なるかたちで歩んだ二誌の展開、そしてカットという表現にたしかにうかがえる、それぞれの描き手のバラエティ豊かな魅力をご覧ください。


  • 画像説明中村研一《カット原画 『世界』第142号》1957年10月1日、世田谷美術館蔵

  • 画像説明宇佐美圭司《カット原画(プロフィール) 『世界』第363号》1976年2月1日、世田谷美術館蔵

  • 画像説明花森安治《カット原画(椅子とランプ) 『暮しの手帖』1世紀5号》1949年10月1日、世田谷美術館蔵

  • 画像説明花森安治《カット原画(青森)『暮しの手帖』 1世紀27号》1954年12月5日、世田谷美術館蔵



[小コーナー展示]魯山人の支援者―― 塩田岩治しおだいわじ南莞爾みなみかんじ

北大路魯山人《雲錦大鉢》
1940年、世田谷美術館蔵

小コーナーでは「魯山人の支援者――塩田岩治(しおだいわじ)と南莞爾(みなみかんじ)」として、書、料理、陶芸など多彩な分野で才能を発揮した北大路魯山人(1883-1959)の作品を展示します。当館が開館当初から収蔵している株式会社利根ボーリング(現・東亜利根ボーリング株式会社)の創業者・塩田岩治のコレクション(塩田コレクション)から、魯山人と塩田の交友関係を窺い知れる作品を紹介します。また、新たに加わった東京火災保険株式会社(現・損害保険ジャパン株式会社)の社長だった南莞爾ゆかりの魯山人作品2点を初公開いたします。

コレクション展のチラシはこちらから>>

予告動画
企画展「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」

広報用画像一覧

  • 画像説明土方久功《マスク》1929-49年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明土方久功《二人-にらめっこ》1965年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明土方久功《島の伊達少年》1965年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明土方久功《美しき日》1970年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明土方久功《猫犬》1974年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》1983年、世田谷美術館蔵 
  • 画像説明柚木沙弥郎《町の人々》2004年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明柚木沙弥郎《旗じるし》2011年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明柚木沙弥郎《コップ》2011年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明柚木沙弥郎《コンストラクション》2011年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
  • 画像説明
  • 画像説明
  • 画像説明中村研一《カット原画 『世界』第142号》1957年10月1日、世田谷美術館蔵
  • 画像説明宇佐美圭司《カット原画(プロフィール) 『世界』第363号》1976年2月1日、世田谷美術館蔵
  • 画像説明花森安治《カット原画(椅子とランプ) 『暮しの手帖』1世紀5号》1949年10月1日、世田谷美術館蔵
  • 画像説明花森安治《カット原画(青森)『暮しの手帖』 1世紀27号》1954年12月5日、世田谷美術館蔵
  • 画像説明北大路魯山人《雲錦大鉢》1940年、世田谷美術館蔵

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