プレスリリース

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滋賀県立美術館開館40周年記念
生誕100年記念 人間国宝 志村ふくみ展
色と言葉のつむぎおり

開催期間会期

滋賀県立美術館(滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1)にて、「生誕100年記念 人間国宝 志村ふくみ展 色と言葉のつむぎおり」を2024年10月8日(火)から11月17日(日)まで開催いたします。本展では、国内屈指の規模を誇る当館収蔵の志村ふくみ作品と館外からの借用作品、作家ゆかりの資料など合わせて80件以上を展示し、初期から近年までの歩みをたどります。また、随筆家としての活動にも注目し、染織作品や故郷、仕事への思いを語るさまざまな言葉をご紹介します。経糸と緯糸が交差して織り出される紬織のように、色と言葉の出会いを美術館でお楽しみください。

志村ふくみ《梔子熨斗目》1970年 滋賀県立美術館蔵

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展覧会概要

この秋、紬織の人間国宝である染織家、志村ふくみの生誕100年を記念して、故郷滋賀では約10年ぶりとなる個展を開催します。
滋賀県近江八幡市出身のふくみは、30代の頃、実母の影響で染織家を志し、植物染料による彩り豊かな染めと、紬糸(節のある絹糸)を用いた紬織に出会います。特定の師にはつかず、自らの信念を頼りに道を進むうちに、生命力あふれる色の表現、文学や哲学といった多彩な芸術分野への探究心に培われた独自の作風が評価され、1990(平成2)年、紬織の人間国宝に認定されました。
本展では、国内屈指の規模を誇る当館収蔵の志村ふくみ作品と館外からの借用作品、作家ゆかりの資料など合わせて80件以上を展示し、初期から近年までの歩みをたどります。合わせて、ライフワークである「源氏物語シリーズ」や、ふくみの心のルーツであり、制作においても重要な位置を占める滋賀をテーマにした作品を紹介します。
またふくみは、染めや織りの仕事と共振させるかのように言葉を紡ぎ、第10回大佛次郎賞を受賞した初の著作『一色一生』(1982(昭和57)年)など、これまで20冊以上の著作を刊行しています。本展では随筆家としての活動にも注目し、染織作品や故郷、仕事への思いを語るさまざまな言葉をご紹介します。経糸と緯糸が交差して織り出される紬織のように、色と言葉の出会いを美術館でお楽しみください。


見どころ
✽ 志村ふくみの故郷滋賀への思いが込められた作品が全国各地から大集合。
《湖上夕照》(滋賀県立美術館蔵)、《湖北残雪(白・紺)》(国立工芸館蔵)、《光の湖》(京都国立近代美術館蔵)、《冬の湖》(文化庁蔵)
※《冬の湖》は後期展示(10/29-11/17)
✽ 志村家から特別にお借りした直筆原稿や作家の愛用品を展示。
✽ ふくみのライフワークである「源氏物語シリーズ」の作品を展示。
✽ 染織作品とともに、ふくみが紡ぎ続けてきた数々の言葉もご紹介。
✽ 色糸の魅力を体感できるインスタレーション作品を展示。
✽ 子どもから大人まで、いつでも楽しめるワークショップコーナーもご用意。


構成
第一章 近江八幡の水辺から
1924(大正13)年、琵琶湖畔の町である滋賀県近江八幡で小野元澄(もとずみ)、豊(とよ)の間に次女として生まれたふくみは、幼い頃に実父の弟、志村哲(さとる)夫妻の養女となりました。やがて自身の出自を知ったふくみは、かつて京都で民藝運動に携わったこともある実母の手引きによって、1955(昭和30)年より故郷で染織家としての活動を始めます。特定の師を持たず、素朴ながらも独自の感性に裏打ちされた作品が近江八幡の工房で生み出され、1957(昭和32)年、第4回日本伝統工芸展に初出品で初入選を果たします。
随筆家としてのふくみの歩みも、またかの地から始まったといえるでしょう。ふくみが最初にまとまった文章を発表したのは1954(昭和29)年、早世した実兄、小野元衞(もとえ)について記した「兄のこと」。近江八幡の実家で、元衛の枕元に寄り添った看病の日々が綴られています。
本章では、日本伝統工芸展に初出品し染職家として歩み始めた近江八幡時代の紬織作品と、関連する言葉を紹介します。

第二章 広がる色と言葉の世界
1968(昭和43)年、ふくみは近江八幡から京都嵯峨に工房を移します。この時期、多くの交流や旅などを通してふくみの視野は一気に広がりました。やがて生命力あふれる色の表現、文学や哲学といった多彩な芸術分野への探究心に培われた独自の作風が評価され、1990(平成2)年には、いわゆる人間国宝である重要無形文化財保持者(紬織)に認定。2015(平成27)年には、染織を学ぶ場として「アルスシムラ」を設立し、後進の育成にあたるようになります。
旺盛な染織作品の制作と歩調を合わせるかのように、言葉による表現にも積極的に取り組みました。1982(昭和57)年に出版された随筆集『一色一生』(求龍堂)は、翌年に第10回大佛(おさらぎ)次郎賞を受賞。自身が興味を抱いたさまざまな領域を行き来しながら紡ぎ続ける言葉は、いまも多くの読者を魅了しています。
本章では、より独自性の強い作風へと展開を見せた、京都嵯峨の工房への転居後から現在に至るまでの作品を展示いたします。

第三章 王朝の世界に遊ぶ 「源氏物語シリーズ」より
ふくみが京都で工房を構えた嵯峨には、歴史ある名刹が点在しています。『源氏物語』の主人公、光源氏のモデルと言われる平安時代の実在の人物、源融(みなもとのとおる)が眠る清凉寺もその一つです。ある日、散歩の途中に清凉寺を訪れたふくみは源融の墓所の存在を知り、遠い王朝の世界が一気に身近に感じられるようになったといいます。そもそも『源氏物語』は、作者である紫式部が近江石山寺に参籠(さんろう)し、琵琶湖に映る月を眺めていた際に物語の着想を得たことが執筆のきっかけと伝わります。古典文学への造詣が深く、滋賀と京都、両地ともにゆかりの深いふくみにとって、『源氏物語』が深く興味を惹かれるテーマであったことは想像に難くありません。
本章では、ふくみがライフワークとして織りつなぐ「源氏物語シリーズ」から9件を抜粋し、ご紹介します。

第四章 近江 百年の原風景
「琵琶湖は私にとって単なる風景ではない。肉親や愛する人などの終焉の地であり、鎮魂の思いのする湖、いわば私の原風景というべきところである。」(「彩(あや)ものがたり 湖上夕照」『芸術新潮』新潮社 1982年12月号)と語るように、ふくみにとって琵琶湖は、実兄の元衛(もとえ)をはじめとする大切な人を見送り、人生の再出発を決意した祈りと鎮魂の地でもありました。故郷の近江をこよなく愛したふくみは、京都に工房を移転した後も制作に行き詰まると電車に飛び乗り、琵琶湖を眺めに出かけたといいます。
展覧会の結びとなる本章では、本年100歳を迎えたふくみの原風景である近江、琵琶湖がテーマの作品群をご紹介します。また、植物染料によって染められた「色糸(いろいと)」のインスタレーションも展示。ふくみが故郷で出会い心惹かれた、織り上げられる前の状態の糸の艶や質感をお楽しみください。

ドロップインワークショップ
本展では、展覧会の最後に、鑑賞者がいつでも楽しめるワークショップコーナーを設けます。展覧会を通して感じたことをかたちにすることができます。

志村ふくみについて
滋賀県近江八幡生まれ。30代の頃、実母の影響で染織の道を志し、植物染料による彩り豊かな染めと、紬糸(節のある絹糸)を用いた紬織に出会います。特定の師にはつかず、自らの信念を頼りに道を進むうちに、生命力あふれる色の表現、文学や哲学といった多彩な芸術分野への探究心に培われた独自の作風が評価され、1990(平成2)年、紬織の人間国宝に認定されました。随筆家としても活躍しており、著作は20冊以上にのぼります。

開催概要

会期
2024年10月8日(火)〜2024年11月17日(日)
前期2024年10月8日(火)〜2024年10月27日(日)
後期2024年10月29日(火)〜2024年11月17日(日)
※会期中に展示替えを行います。
会場 滋賀県立美術館
住所 520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 Google Map
展示室 滋賀県立美術館 展示室3
時間
9:30〜17:00(最終入場時間 16:30)
休館日
毎週月曜日(ただし祝休日の場合には開館し、翌日火曜日休館)
観覧料
一般1,200円(1,000円)、高校生・大学生800円(600円)、小学生・中学生600円(450円)
※( )内は20名以上の団体料金
※企画展のチケットで展示室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可
※未就学児は無料
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方は無料
TEL 077-543-2111
URL
【滋賀県立美術館 ウェブサイト】
https://www.shigamuseum.jp/
SNS
主催 滋賀県立美術館、京都新聞
特別協力 都機工房
後援 エフエム京都
企画 山口真有香(滋賀県立美術館 主任学芸員)
滋賀県立美術館の概要
・1984年8月26日に滋賀県立近代美術館として開館しました。
・日本画家の小倉遊亀(滋賀県大津市出身)や染織家の志村ふくみ(滋賀県近江八幡市出身)のコレクションは国内随一を誇っています。
・2023年度末時点の収蔵件数は2,589件です(日本画・郷土 1,291件、現代美術 567件、アール・ブリュット 731件)。
小さなお子さんがいる、障害があるなど、様々な理由で来館を迷っている方へ
当館では、しーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごしていただけます。目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートをご希望される場合や、そのほかご来館にあたっての不安をあらかじめお伝えいただいた際には、事前の情報提供や当日のサポートのご希望に、可能な範囲で対応します。

関連イベント

講演会「志村ふくみ―心熱く本を編む」(申込方法は調整中/無料)
志村ふくみの染織作品と言葉について語る対談形式の講演会を開催します。
日時:10月20日(日)14:00~16:00
講師:志村洋子(染織家・随筆家、都機工房主宰)
   三宅奈穂美(芸術書編集者・株式会社求龍堂エキスパート・エディター)
場所:木のホール
定員:150名

草木染め体験ワークショップ(要事前申込/抽選/要参加費)
高校生以上の方を対象とした、草木染め体験のワークショップを開催します。
日時:11月10日(日)13:00~16:00
協力:都機工房(志村ふくみ・志村洋子の両氏が主宰する工房)
場所:ワークショップルーム
定員:20名

たいけんびじゅつかん(要事前申込/抽選/要参加費/保護者の方は要観覧料)
小・中学生とその保護者の方を対象とした、展覧会の鑑賞と創作体験がセットになったワークショップを開催します。
日時:10月26日(土)13:00~15:30
協力:都機工房(志村ふくみ・志村洋子の両氏が主宰する工房)
場所:ワークショップルーム
定員:20名

学芸員によるギャラリートーク (事前申込不要/当日先着/要観覧料)
本展を担当学芸員の解説付きで鑑賞します。
日時:10月12日(土)、11月4日(月・振休)、各日とも11:00~11:45、14:00~14:45
場所:展示室3
定員:各回20名程度


図録
本展に出展される作品(インスタレーションを除く)および資料のカラー図版、作品解説、担当学芸員の論考、略年譜などを掲載します。
初期から近年までの代表作を通観できるとともに、本展のために志村家から特別にお借りした直筆原稿や作家の愛用品の図版も収録し、他にはない貴重な内容となります。

同時期に開催する当館の展覧会(常設展)

常設展「SMoAコレクション―女性作家特集―」
会期:2024年10月5日(土)~12月8日(日)
会場:展示室1(小倉遊亀コーナーを含む)、展示室2


次回開催予定の展覧会(企画展)
展覧会名:滋賀県立美術館開館40周年記念「BUTSUDORI展」
会期:2025年1月18日(土)~3月23日(日)
概要:ふと目に入った日常の「モノ」にレンズを向ける、カメラあるいはスマホを手にしたことのある人であれば、誰しもが経験したことがある行為でしょう。そんな「モノ」を撮影するということが、写真が誕生して以降の写真家の表現や意図において、どんな役割を果たしてきたのか。そして私たちの社会にいかに影響を与えてきたのか。本展は、主に商業写真で使われてきた「BUTSUDORI(物撮り)」という用語を拡張しつつ、モノを撮り続けてきた写真の奥深さに迫ります。

広報用画像一覧

  • 画像説明志村ふくみ《鈴虫》1959年 滋賀県立美術館蔵
  • 画像説明志村ふくみ《梔子熨斗目》1970年 滋賀県立美術館蔵
  • 画像説明志村ふくみ《夕顔》2003年 滋賀県立美術館蔵
  • 画像説明志村ふくみ《光の湖》1991年 京都国立近代美術館蔵
  • 画像説明滋賀県立美術館外観(撮影:大竹央祐)
  • 画像説明滋賀県立美術館エントランスロビー(撮影:大竹央祐)
  • 画像説明展覧会チラシ(表面)
  • 画像説明展覧会チラシ(裏面)

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